想像力の活用法
パタフィジックの創始者アルフレッド・ジャリの詩的発明を継承しつつ独自の活動を展開してきた、20世紀後半の前衛集団、コレージュ・ド・パタフィジック。だがその全体像はこれまで十分に紹介されてこなかった。
本書ではその全貌に迫るべく、ジャリはもちろん、デュシャン、クノー、ヴィアン、エーコ、覆面作家ジュリアン・トルマらに加え、文学実験集団ウリポなども紹介し、「想像上の解決」「クリナメン」「例外」などの中心概念を解説する。さらに役職制度や機関誌『ヴィリディス・カンデラ』、奇想天外なエピソードの数々まで、100と1語を通してパタフィジックの迷宮をたどる。
真面目さとユーモア、学識と遊び心が交錯する絶好の案内役。現代の文学・芸術・思想に深く根を下ろした、奇妙にして本格的な知的実践の魅力を、軽やかに開いてみせる一冊。
[目次]
1 極点
2 行政
3 アルファベット
4 かのごとく、装うこと
5 愛
6 アナグラム
7 アポストロフィー
8 始祖鳥
9 アラバル(フェルナンド)
10 芸術と生の芸術
11 小艇
12 聴講生と通信員
13 アヴェルティ(ジャン=クリストフ)
14 至福
15 ボス=ド=ナージュ
16 パタフィジック暦
17 カルルマン
18 碧の蠟燭
19 クリナメン
20 コレージュ・ド・パタフィジック
21 意識=自覚、無意識=無自覚
22 コントルペ
23 クロコダイル
24 爪楊枝
25 キュンバルム・パタフィジクム
26 掌璽院院長
27 ドーマル(ルネ)
28 脳抜き
29 脱走
30 神
31 威厳、高位勲等
32 デュビュッフェ(ジャン)
33 デュシャン(マルセル)
34 エーコ(ウンベルト)
35 束縛、解放
36 公現
37 等しさ
38 永翳
39 例外
40 間接表現
41 フォストロール
42 フェリ(ジャン)
43 ジドゥイユ
44 ア・ア
45 エベール
46 ユーモア
47 記章
48 海外機関
49 イヨネスコ(ウジェーヌ)
50 ジャリ(アルフレッド)
51 文学、文学狂人
52 リュタンビ
53 くそったるれ
54 モレ(男爵)
55 道徳
56 死
57 掩蔽
58 個体発生
59 オパック
60 楽天主義
61 大ジドゥイユ勲章
62 綴字法
63 ウリポ
64 ウ=X=ポ
65 同等なる(書物)
66 パロタン
67 先駆者
68 パタフィジック
69 教育法
70 ペイショト(ターニャ)
71 思考
72 銭っころ
73 多面体
74 地方監督官
75 筆名
76 内部刊行物
77 クノー(レーモン)
78 ラブレー(フランソワ)
79 摂政
80 救済
81 サンドミール(イレネ=ルイ)
82 太守
83 懐疑主義
84 まじめさ
85 想像上の解決
86 小委員会、委員会
87 思弁
88 シュルレアリスム
89 印
90 タタン
91 三太守のテラス
92 トルマ(ジュリアン)
93 ユビュ
94 有用性
95 着衣
96 ヴィアン(ボリス)
97 副執政官
98 汲み取り
99 ヴィリディス・カンデラ
100 ツィムツム
101 一〇〇の二
年譜
書誌
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訳者解説
[著者略歴]
コレージュ・ド・パタフィジック Collège de ’Pataphysique
1948年にランス市のリセ教員エマニュエル・ペイエと、パリ左岸のアドリエンヌ・モニエ経営の書店で働くモーリス・サイエによって設立。19世紀末の奇想作家アルフレッド・ジャリが提唱した「パタフィジック」の教えを現代に継承・発展させるための知的遊戯集団として、機関誌『ヴィリディス・カンデラ』を1950年に創刊し、独自の価値観と制度、ルール遵守のもとに活動。著名な会員に、クノー、プレヴェール、アラバル、イヨネスコ、ヴィアン、ルネ・クレール、デュシャン、デュビュッフェ、ミロ、エーコ、ボードリヤールなどがいる。一癖も二癖もある頭脳的前衛たちが世界的規模で展開した、今なお現役の芸術運動。
[訳者略歴]
合田 陽祐(ごうだ ようすけ)
1977年生。山形大学大学院社会文化創造研究科教授。フランス政府給費留学生として渡仏後、2013年にアルフレッド・ジャリ論で文学博士号取得(フランス国立メーヌ大学)。専攻はフランス文学・雑誌メディア論。おもな著書に『声と文学 拡張する身体の誘惑』(共著、平凡社)、『詩人の場所、星々の時間』(共著、水声社)、Naturalisme en réseaux(共著、Média 19 : Littérature et culture médiatique)などがある。