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まなざしの川をわたる 齋藤陽道詩集

残り3点

2,000円

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最近、家の掃除をしていたら昔に書いていた日記をみつけました。5歳のころ、日本語を習得するということで毎日宿題として書いていたものです。 日記には、発音訓練の先生による赤字が書かれているのですが、いやあ、ひどい。ひどい。 きれいな言葉を少しでも身につけるべく厳しい訓練が必要である、という、ど根性論が当たり前の昭和だったとしても、それでも、どれも5歳児にむけるべきものではないものでした。子どもを迎えた今、読むとあらためてそのいびつさがわかります。 「手話を覚えると犬並みになるからやめなさい」と母に言った先生でした。いやはやなんとも。 日記に書かれたこの赤字が、ぼくにとってずっと呪いでした。聞こえるまともな人間にならなきゃ、と、ずっと焦ってもがいていました。 程度の差や形は違えど、こういう偏見と差別に満ちた呪いは現在もあります。 こうした呪いから放たれて、ろうとしての生き方を絶対肯定するような本をぼくはずっと必要としていました。 まずぼくが作ろうと思い、写真作品、エッセイ、そして、今回は、詩集に挑みました。 ぼくと同じく、眼で見る喜びをたずさえて写真を撮る、妻であり、最高のライバルでもある、写真家もりやままなみとの初めての写真による共同作品でもあります。 ● 「明け方」 眠っているかのような あなたに 手で話しかけました ひとたび ことばをそそげば 心の奥で広がる無辺から  あなたの記憶が  あざやかに湧きいづります あなたがいた場所も 目尻の皺も 手がつむいだことばの軌跡も ことごとく 記憶が溢れて こぼれて  やみません 静かに にぎやかな赤い血 私の記憶には  私の全感覚を通して あなたが宿っています 私の手も いつか  語れなくなるでしょう その日まで できるかぎりの光を  この手に通わせて できるかぎりの風景を  目の奥にしまって できるかぎりの人と  ことばを交わして あらゆることばの気配が 皺のすきまに宿るなら それだけで  もう ● この詩集で成したいことは、単に「ろう者の物語」を描くことではなく、「目の喜びを糧として生きる者が、世界をどう感じ、どう共有しうるか」という問いに向き合うことだった。 「あとがき」より ● 【詳細】 詩集「まなざしの川をわたる」 発行日 令和7年12月1日  著 者 齋藤 陽道 写 真 もりやま まなみ 発 行 株式会社せかいはことば 印 刷 藤原印刷株式会社 定 価 2000円(税込) 仕 様 B6変形 ソフトカバー(並製本) 142p 部 数 1000部限定  詩  37篇 著者 齋藤 陽道 (さいとうはるみち) 1983年、東京都生まれ。写真家、文筆家。 東京都立石神井ろう学校卒業 2020年から熊本県在住 2010年「写真新世紀」優秀賞 2013年 ワタリウム美術館個展開催 2014年 日本写真協会新人賞 写真集『感動』(2011年・赤々舎)、続編『感動、』(2019年・赤々舎)は木村伊兵衛写真賞の最終候補 となる。著書に『異なり記念日』(医学書院・毎日出版文化賞)『よっちぼっち 家族四人の四つの人生』(暮しの手 帖社・第65回熊日文学賞受賞)、『学びのきほん つながりのことば学』(NHK出版)など多数。 2011.3.11東日本大震災をきっかけに「神話」シリーズ撮影開始。 「手話のあるくらし」をさまざまな方法で伝える活動をしている。 2022年6月10日 株式会社せかいはことば 設立 (代表取締役 もりやままなみ) Kindle→https://amzn.to/3NWaoLb

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