本能を呼び覚ませ
旅のなかで遭遇した事物がもたらす情動と思考
読む者の心を深い地点から揺さぶる20篇
旅のなかで遭遇した信頼のかたち。湧きあがり、おのずから増大する点で信頼は勇気に似ている。洞察と情動に満ちた哲学的旅行記。
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跳躍とともにおのずから増大していく点で、他者への信頼は勇気に似ている──。トンブクトゥからリマ、シドニー、ラサ、カイロへ。旅先での邂逅がもたらす衝撃と驚きと発見、そして溢れ出る情動。ある地では、現代における聖性への問いが、また別の地では、正義を求めた情熱の残響があった。未知なるもののなかへ身を投じることで、人ははじめて生の力が何であるかを知る。その瞬間に際しては、精神を空にし、自我を消し、言葉を黙らせるのだ。理性を超えた感情のほとばしりやうごめきを研ぎ澄まされたまなざしでとらえた20篇の記録。
【目次】
はじめに
Ⅰ
アラワーヌ
ノーリアの歌
ファサード
知りえぬ知性
リング
Ⅱ
古い病院
Ⅲ
タイフーン
サンパウロ
男
手紙
無心の歌
アディス・アベバ
ラブ・ジャンキーズ
Ⅳ
理解
恐ろしい神秘の晩餐
絶滅した宗教の復活
ラリベラ
ヴードゥ
湧きあがる
Ⅴ
寡黙
注記
訳者あとがき
解説(管啓次郎)
著者
アルフォンソ・リンギス(Alphonso Lingis):1933-2025年。アメリカ合衆国イリノイ州クレタ生まれ。哲学者。ペンシルヴァニア州立大学名誉教授。シカゴのロヨラ大学に学び、その後ベルギーのルーヴァン大学に進む。旅の経験から得た洞察を類稀なエッセイの数々に昇華していった。著書に『汝の敵を愛せ』『なにも共有していない者たちの共同体』(ともに、洛北出版)、『異邦の身体』(河出書房新社)、『変形する身体』『わたしの声』『暴力と輝き』(いずれも、水声社)など。
岩本 正恵(いわもと・まさえ):1964-2014年、東京都生まれ。東京外国語大学英米語科卒業。翻訳家。