

“誰もが生きやすい国”をめざして、
長い長い、道のりがあった
世界一の「平等の国」といわれるスウェーデン。この国に生きた女性たちは、家事、仕事、育児、それから人間関係のいくつもの困難に、どう向き合い、乗り越えてきたのだろう――国を超え、世代を超えて引き継がれる、「思いやりと工夫」の知恵、そして「反乱と変革」を続けていくための実践がつまった、全ての生活者におくる「生き方」集。
スウェーデン発、3世代の女性たちの
話したかったこと、話せなかったこと
「わたしたちがまだ生まれてもいなかった頃、数多くの女性と数少ない男性が闘っていました。そのひとたちに会いたかった。ずっと昔、変化を起こすためにはなにが大切だったのかを尋ねたかったのです。多くのひとがいまも闘っています。(…)
この作業のあいだ、わたしたちは尋ねあってきました。フェミニストの闘いって、ほんとのところなんなんだろうね、と。バリケードの上や歴史の教科書の中に姿が見えるひとたちだけが、フェミニストなんだろうか。それとも、だれかのおばあちゃんだってそうなんだろうか。探してみると、闘いはさまざまな場所で見つかりました。洗濯小屋の中で、国会の中で。デモ行進の中で、保育所で。(…)
この本に協力してくれたのは、三世代の女性たちです。全員が、それぞれに違う時代や違うかたちではあるけれども、自分の性別のせいで制限されていると感じた経験を持っています。インタビューや会話、エッセイの中で、そのひとたちと出会ってください。」(本書「まえがき」より)
目次
まえがき
《娘たち》
わたしたちは娘たち
フェミニズムってなに?
かわいそうな女子じゃないから
おしゃべり
廊下をめぐる闘い
あまり人間らしくない
怒り
だれかが最初に行かなくちゃいけないでしょ!
ふたつの性をもつものたちを乗せたバス
やかましくて生意気でいるか、それとも、かわいく満足させるか?
《母親たち》
あなたたちはお母さんたち
フェミニズムってなに?
上司が掃除しているのを見たとき
性の革命なるものを追いかけて
戦闘力の高いグンローグ
ある保育園児からお母さんへ
おしゃべり
空を飛びまわる
《祖母たち》
あなたたちはおばあちゃんたち
フェミニズムってなに?
おしゃべり
心の中ではわかっている
ある革命的な考え
家事アシスタント
そう、わたしは女中になったのさ
訳者あとがき
推薦図書
執筆者一覧と担当
著者
ファニー・アンビョーンソン
1973年生まれ。朝食にいつもラズベリーヨーグルトを食べ、電話でよくしゃべる。社会人類学の博士課程在籍、ときどきラジオ局で働く。
シーリ・アンビョーンソン
1975年生まれ。児童施設とスウェーデンラジオで臨時職員として働く。寝室は青、社会は根底から変えられなくてはいけないと思っている。
エンマ・ヤンケ
1974年生まれ。玄関は靴でいっぱい、水中で逆立ちをするのが好き。公衆衛生局の若者向け機関紙『Glöd(炎)』の編集者、コンピュータを使った仕事が好き。
マリーア・ヨーンソン
ウーメオで文学を学び、清掃員として働く。1975年生まれ。メガネは国から支給されるべきだと考える。たいていのことがしんどく感じる。犬の名前はホムサン。
エリーカ・ソーレンソン
ウーメオ在住、大学で幅広く学んだ。1975年生まれ。以前は書店で働いていた。大好きな男きょうだいがひとりいる。旅をするのが大好き。
(著者略歴は1999年の原著刊行時のもの)
よこの なな
1977年生まれ。スウェーデン語翻訳者。
訳書にリーヴ・ストロームクヴィスト『21世紀の恋愛 いちばん赤い薔薇が咲く』『欲望の鏡 つくられた「魅力」と「理想」』(以上、花伝社)、モンス・ムーセソン『ティム アヴィーチー・オフィシャルバイオグラフィ』(青土社)、フリーダ・ニルソン『ゴリランとわたし』『シーリと氷の海の海賊たち』、エーヴァ・リンドストロム『ぼくらにできないことはない』、リーサ・ルンドマルク『サメのイェニー』(以上、岩波書店)。
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