

現代台湾文学を牽引する著者最新作。再び神話と現実が混じりあう感動巨編!
白い犬の後を追いかけてきたタロコ族の少年と、自分を売ろうとする父親から逃げてきた少女。山の深い洞穴で二人は出会い、心を交わす。
少年が少女の村に、少女が少年の村へ入れ替わり出ていくのを、巨人は見つめていた。
山は巨人の体であった。人々に忘れ去られた最後の巨人ダナマイ。彼の言葉を解すのは、傷を負った動物たち。
時を経て再会する二人を軸に、様々な過去を背負う人々を抱えて物語は動き出す。
舞台は原住民と漢人、祖霊と神が宿る台湾東部の海豊村。
山を切り崩すセメント工場の計画が持ち上がり、村の未来を前にして、誇りを守ろうとする人々と、利益を享受しようとする人々が対立する。
巨人がなおも見つめ続ける中、かつてない規模の台風が村を襲い、巨人と人間の運命が再び交差する――。
物語を動かすのはつねに、大いなるものに耳を傾ける、小さき者たち。
★2023年台湾書店大賞小説賞受賞
★「博客来」ブックス・オブ・ザ・イヤー入選
著者について
●呉 明益:1971年、台湾・台北生まれ。小説家、エッセイスト。国立東華大学華文文学科教授。輔仁大学マスメディア学部卒業、国立中央大学中国文学部で博士号取得。1997年に短編集『本日公休』でデビュー。小説やエッセイ、写真評論など多彩な作品を生む。二作目の長編『複眼人』(角川文庫)で一躍脚光を浴び、14か国で邦訳された。台湾現代文学を代表する作家の一人。他の邦訳に短編『歩道橋の魔術師』(河出文庫)、『自転車泥棒』(文春文庫)、『雨の島』(河出書房新社)がある。
●三浦 裕子:仙台生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。出版社にて雑誌編集、国際版権業務に従事した後、 2018年より台湾・香港の本を日本に紹介するユニット「太台本屋 tai-tai books」に参加。版権コーディネート、出版や映画まわりの翻訳、記事執筆などを行う。訳作に林育徳『リングサイド』、ライ・ホー「シャーロック・ホームズ」シリーズ、捲猫『台湾はだか湯めぐり 北部篇』などがある。楊双子『台湾漫遊鉄道のふたり』で第10回日本翻訳大賞を受賞。
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