足元に置いていかれた存在からこの世界を問い直す
かつてハワイ諸島に存在していたカタツムリは現在では3分の2近くが失われた。植民地化、コレクションブーム、肉食のカタツムリを持ち込んでの害虫駆除…、かれらが絶滅した多くの原因は人間の歴史の延長線上にある。カタツムリたちの魅惑的な生態と人間の歴史が絡まりながら絶滅へむかう過程を精緻にすくいとる。
アナ・チン氏、ダナ・ハラウェイ氏、ブルーノ・ラトゥール氏推薦!
[目次]
はじめに カタツムリをさがして
第1章 放浪するカタツムリ――粘液の世界を散策する
第2章 海を渡るカタツムリ――長距離移動の謎をさぐる
第3章 収集されるカタツムリ――今も続く植民地化の影響
第4章 名をもたぬカタツムリ――分類学と知られざる絶滅危機
第5章 吹き飛ばされるカタツムリ――連帯と軍隊
第6章 囚われるカタツムリ――喪失の時代における希望のかたち
エピローグ
謝辞/原注/用語解説/参考文献/索引
[著者]トム・ヴァン・ドゥーレン(Thom van Dooren)
1980 年生まれ。シドニー大学人文学部教授。環境哲学者。とりわけ、種の絶滅や絶滅の危機に瀕している種と人間の絡まり合いの中で生じる哲学的、倫理的、文化的、政治的問題に 点を当てて研究をしている。単著に、『絶滅へむかう鳥たち― 絡まり合う生命と喪失の物語』(青土社、2023)、The Wake of Crows: Living and Dying in Shared Worlds(Columbia University Press, 2019)などがある。エリザベス・デローリー、デボラ・バード・ローズと共に学術誌Environmental Humanities(Duke University Press)の創刊と編集に携わっている。
[訳者]西尾義人(にしお・よしひと)
1973 年東京生まれ。翻訳者。国際基督教大学教養学部語学科卒業。訳書にリー・マッキンタイア『エビデンスを嫌う人たち』(国書刊行会)、デイヴィッド・ピーニャ = グズマン『動物たちが夢を見るとき』、トム・ヴァン・ドゥーレン『絶滅へむかう鳥たち』(共に青土社)などがある。
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