韓国における兵役拒否者であり平和活動家でもあるイ・ヨンソクが、自身の兵役拒否体験をもとにその意義や平和運動のあり方、そして平和運動が直面してきた諸問題を考察し、代替服務制度を勝ち取るまで──そしてその後の葛藤まで──を綴る。「兵役」というテーマをとおして、韓国社会を「内側」から考える、ひいては私たちの社会をも問い返さざるをえない、迫真の書。
「かれらの行動には、冷笑を吹き飛ばす力がある。明確な解答を提示するのではなく、明確さという暴力をかき乱す「問い」がつまった本だ。平和に対する渇望と疑心を同時に抱いたあらゆる人びとに本書を勧める」
──キム・チョヨプ(『わたしたちが光の速さで進めないなら』著者)
目次
日本語版序文
プロローグ
1、軍隊を拒否できるって?
2、兵役拒否にも系譜がある
3、良心を問われて
4、平和と非暴力を想像する
5、二等兵が打ち上げた小さな平和
6、多様な「臆病者」の登場
7、父は朴露子を読みはじめた
8、兵役拒否者の賢い(?)監房生活
9、兵役拒否を断念するということ
10、兵役を拒否できるひとがほかにいるだろうか?
11、失敗が道となるように
12、「お前らには銃弾を使うのももったいないから包丁で刺し殺してやる」
13、監獄へいく男、差し入れする女?
14、戦争受益者を止めろ!
15、難民を選択する人びと
16、「兵役法」の変化
17、代替服務制が導入されるまで
18、批判を超え、代案を語る
19、「偽」兵役拒否者、「偽」難民、「偽」トランスジェンダー?
20、代替服務という出発点
エピローグ
原注
訳者解説 森田和樹
著者プロフィール
イ・ヨンソク (イ ヨンソク) (著/文)
1980年生まれ。韓国の兵役拒否者。平和運動団体「戦争なき世界」のアクティビスト。
森田和樹 (モリタカズキ) (翻訳)
1994年生まれ。同志社大学大学院社会学研究科博士後期課程所属。専攻は歴史社会学、朝鮮現代史。